[__slots__の使用方法?]

PYTHON3 チュートリアル

`__slots__`の使用方法と利点

Pythonの`__slots__`は、クラスのインスタンス属性を固定することでメモリ効率を改善し、属性の動的な追加を防ぐ機能です。通常、Pythonのクラスインスタンスは辞書(`__dict__`)を持ち、動的に属性を追加できますが、これはメモリ使用量が多いです。`__slots__`を使用すると、`__dict__`が生成されず、代わりに各インスタンス属性に対して固定されたスペースのみが用意されます。これにより、メモリ使用量が削減され、属性へのアクセス速度が向上します。

実装方法

`__slots__`を使用するには、クラス定義内に`__slots__`属性を設定し、許可される属性名をタプルで指定します。以下にその実装例を示します。

class Point:
    __slots__ = ('x', 'y')

    def __init__(self, x, y):
        self.x = x
        self.y = y

この例では、`Point`クラスは`x`と`y`のみを属性として持ち、これらは事前に`__slots__`で定義されています。このため、このクラスのインスタンスは他の属性を持つことができません。

サンプルコード1: __slots__の基本的な使用

class Rectangle:
    __slots__ = ('width', 'height')

    def __init__(self, width, height):
        self.width = width
        self.height = height

    def area(self):
        return self.width * self.height

rect = Rectangle(5, 10)
print("Area:", rect.area())  # 出力: Area: 50

サンプルコード2: __slots__を使ったエラーの例

class Circle:
    __slots__ = ('radius',)

    def __init__(self, radius):
        self.radius = radius

circle = Circle(5)
try:
    circle.color = 'red'  # これはエラーを引き起こします
except AttributeError as e:
    print("Error:", e)  # 出力: Error: 'Circle' object has no attribute 'color'

サンプルコード3: 継承と__slots__

class Shape:
    __slots__ = ('id',)

class Circle(Shape):
    __slots__ = ('radius',)

    def __init__(self, id, radius):
        self.id = id
        self.radius = radius

circle = Circle(101, 5)
print("Circle ID:", circle.id, "Radius:", circle.radius)  # 出力: Circle ID: 101 Radius: 5

上記のサンプルコード3では、`Shape`クラスとそのサブクラス`Circle`が`__slots__`を使用しています。継承を使用する場合、サブクラスはスーパークラスの`__slots__`に加えて独自の`__slots__`を定義することができます。

これらの例からわかるように、`__slots__`を使用すると、メモリ効率の良いクラス設計が可能になりますが、柔軟性が制限される点に注意が必要です。特に、大規模なプログラムやライブラリで`__slots__`を使用する場合は、その影響を慎重に評価することが推奨されます。

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