C言語 #13: 型変換(Type Conversion)

独習C

C言語では、異なるデータ型間で値を変換する必要がある場合があります。これを「型変換」と呼びます。型変換には、暗黙的な型変換(自動的に行われる変換)と明示的な型変換(キャスト演算子を使用して行う変換)の2種類があります。ここでは、C言語の型変換について詳しく説明します。

暗黙的な型変換

暗黙的な型変換は、コンパイラが自動的に行う型変換です。通常、より小さいデータ型からより大きいデータ型への変換が行われます。

整数型間の変換

例えば、int型の値をfloat型の変数に代入すると、自動的にintからfloatへの変換が行われます。

#include <stdio.h>

int main() {
    int a = 10;
    float b;

    b = a; // int から float への暗黙的な型変換
    printf("b の値: %f\n", b);

    return 0;
}

浮動小数点型間の変換

float型の値をdouble型の変数に代入する場合も、暗黙的な型変換が行われます。

#include <stdio.h>

int main() {
    float a = 3.14f;
    double b;

    b = a; // float から double への暗黙的な型変換
    printf("b の値: %lf\n", b);

    return 0;
}

明示的な型変換(キャスト)

明示的な型変換は、キャスト演算子を使用して行われます。これは、開発者が意図的に型を変換する場合に使用されます。

キャスト演算子の使用

キャスト演算子を使用すると、任意のデータ型に変換することができます。

#include <stdio.h>

int main() {
    double a = 3.14159;
    int b;

    b = (int)a; // double から int への明示的な型変換
    printf("b の値: %d\n", b);

    return 0;
}

浮動小数点型から整数型への変換

浮動小数点型から整数型への変換では、小数点以下の部分が切り捨てられます。

#include <stdio.h>

int main() {
    float a = 9.99;
    int b;

    b = (int)a; // float から int への明示的な型変換(切り捨て)
    printf("b の値: %d\n", b);

    return 0;
}

算術演算における型変換

算術演算を行う際にも型変換が発生します。異なるデータ型の間で演算を行う場合、C言語は両方のオペランドを同じ型に変換してから演算を行います。

整数型と浮動小数点型の演算

整数型と浮動小数点型の間で算術演算を行う場合、整数型は浮動小数点型に変換されます。

#include <stdio.h>

int main() {
    int a = 10;
    float b = 3.14;
    float c;

    c = a + b; // int から float への暗黙的な型変換後に演算
    printf("c の値: %f\n", c);

    return 0;
}

その他の型変換

ポインタや構造体など、その他のデータ型間でも型変換を行うことができます。ただし、これらの型変換は慎重に行う必要があります。

ポインタの型変換

異なる型のポインタ間での変換も可能ですが、メモリアクセスの観点から注意が必要です。

#include <stdio.h>

int main() {
    int a = 42;
    void *p;

    p = &a; // int 型のアドレスを void ポインタに変換
    printf("p の値: %p\n", p);

    return 0;
}

総合例

以下に、ここまで学んだ型変換の知識を統合したプログラムを示します。このプログラムでは、暗黙的な型変換と明示的な型変換を含むさまざまな操作を行います。

#include <stdio.h>

int main() {
    // 暗黙的な型変換
    int i = 10;
    float f = i;
    double d = f;
    printf("int から float への変換: %f\n", f);
    printf("float から double への変換: %lf\n", d);

    // 明示的な型変換
    double pi = 3.14159;
    int intPi = (int)pi;
    printf("double から int への変換: %d\n", intPi);

    // 浮動小数点型と整数型の演算
    int a = 5;
    float b = 2.5;
    float result = a + b;
    printf("int と float の演算結果: %f\n", result);

    // ポインタの型変換
    int num = 100;
    void *ptr = #
    printf("int 型のアドレスを void ポインタに変換: %p\n", ptr);

    return 0;
}

結論

型変換は、C言語プログラミングにおいて重要な概念です。暗黙的な型変換と明示的な型変換を理解することで、異なるデータ型間での操作を正確に行うことができます。これらの知識を活用して、より柔軟で効率的なプログラムを作成しましょう。

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