Python 3におけるfunctools.wrapsの役割
Python 3のfunctools.wrapsは、デコレータを使って関数を修飾する際に、オリジナルの関数の情報(名前、ドキュメンテーション文字列、引数リストなど)を保持するためのヘルパー関数です。通常、デコレータを使用すると、オリジナルの関数の情報が失われることがありますが、functools.wrapsを使うことでその情報を保持することができます。
関連する知識
functools.wrapsを使用することで、デコレータを作成する際に以下のようなメリットがあります。
- デコレートされた関数の名前やドキュメンテーション文字列が保持される。
- オリジナルの関数の引数リストがデコレートされた関数に反映される。
- デコレートされた関数が呼び出されたときのスタックトレースがよりわかりやすくなる。
明確な例と結果
以下に、functools.wrapsを使用しない場合と使用した場合の比較例を示します。
import functools def my_decorator(func): def wrapper(): print('Calling decorated function') return func() return wrapper @my_decorator def example(): """Docstring of example function""" print('Called example function') print(example.__name__) # Output: wrapper print(example.__doc__) # Output: None
上記の例では、functools.wrapsを使用せずにデコレータを適用した場合、オリジナルの関数の情報が失われてしまいます。
import functools def my_decorator(func): @functools.wraps(func) def wrapper(): print('Calling decorated function') return func() return wrapper @my_decorator def example(): """Docstring of example function""" print('Called example function') print(example.__name__) # Output: example print(example.__doc__) # Output: Docstring of example function
functools.wrapsを使用することで、デコレートされた関数にはオリジナルの関数の情報が保持されるため、より使いやすくなります。
以上が、Python 3におけるfunctools.wrapsの役割に関する説明と具体的な例です。このモジュールを適切に活用することで、デコレータをより効果的に利用することができます。