1. 組み込みデータ型
Pythonの組み込みデータ型(Built-in Data Types)とは、Pythonのプログラムで使用できる基本的なデータの種類のことです。これらのデータ型は、Pythonの言語仕様に組み込まれており、特定のデータを表現し、操作するための機能を提供します。主な組み込みデータ型には以下のものがあります:
- 整数 (int): 整数は整数値を表現するためのデータ型です。例えば、
1
,100
,-5
などが整数です。 - 浮動小数点数 (float): 浮動小数点数は実数値を表現するためのデータ型です。例えば、
3.14
,2.718
,0.5
などが浮動小数点数です。 - 論理値 (bool): 論理値は真(True)か偽(False)のどちらかを表現するためのデータ型です。条件式の評価などで使用されます。
- 文字列 (str): 文字列は文字のシーケンスを表現するためのデータ型です。文字列はシングルクォート (
'
) もしくはダブルクォート ("
) で囲むことで作成します。例えば、"hello"
,'Python'
などが文字列です。 - リスト (list): リストは複数の要素を順序付きで格納するためのデータ型です。リストは角括弧 (
[]
) で要素を囲んで作成し、要素はコンマで区切ります。例えば、[1, 2, 3]
,['apple', 'banana', 'orange']
などがリストです。 - タプル (tuple): タプルも複数の要素を格納するためのデータ型で、リストと似ていますが、変更不可 (immutable) です。タプルは丸括弧 (
()
) で要素を囲んで作成し、要素はコンマで区切ります。例えば、(1, 2, 3)
,('a', 'b', 'c')
などがタプルです。 - 辞書 (dict): 辞書はキーと値のペアを格納するためのデータ型です。キーと値はコロン (
:
) で区切り、各ペアはコンマで区切ります。辞書は波括弧 ({}
) で囲んで作成します。例えば、{'apple': 2, 'banana': 3, 'orange': 1}
などが辞書です。 - 集合 (set): 集合は重複のない要素の集まりを表現するためのデータ型です。集合は波括弧 (
{}
) で要素を囲み、要素はコンマで区切ります。例えば、{1, 2, 3}
などが集合です。
これらの組み込みデータ型は、Pythonプログラミングのさまざまな側面で広く使用されます。それぞれのデータ型には、その特性に合わせた操作やメソッドがあります。
2. 特定のデータ
特定のデータ(値やオブジェクト)がどの種類のデータ型に属しているかを確認することです。Pythonでは、ある値やオブジェクトのデータ型を取得するための組み込み関数 type()
を使用します。
以下は type()
関数を使用してデータ型を取得する例です:
x = 5 y = "Hello" z = [1, 2, 3] print(type(x)) # 出力: <class 'int'> print(type(y)) # 出力: <class 'str'> print(type(z)) # 出力: <class 'list'>
この例では、x
は整数型(int)、y
は文字列型(str)、z
はリスト型(list)です。type()
関数を使用することで、変数や値のデータ型を簡単に確認できます。
3. データ型の設定
Pythonでは、変数に値を代入することで、変数のデータ型が決まります。言い換えると、Pythonでは変数のデータ型は、その変数に代入される値によって決定されます。
例えば、次のようにして変数 x
に整数値を代入すると、x
のデータ型は整数型(int
)になります:
x = 5
同様に、次のようにして変数 y
に文字列を代入すると、y
のデータ型は文字列型(str
)になります:
y = "こんにちは"
変数に異なるデータ型の値を代入することで、その変数のデータ型が変わります。Pythonでは、動的型付け言語として知られており、変数のデータ型は宣言時に指定する必要がなく、実行時に値に基づいて自動的に決定されます。
そのため、Pythonにおいては明示的な「データ型の設定」が必要ないのです。データ型は、値によって自動的に設定されます。
4. 特定のデータ型の設定
Pythonでは、通常、変数に特定のデータ型を明示的に設定する必要はありません。変数に値を代入することで、Pythonは自動的にその変数のデータ型を決定します。ただし、一部のデータ型では、特定のデータ型を明示的に指定することができます。
以下は、特定のデータ型を設定する例です:
memoryview
型:
x = memoryview(bytes(5))
この場合、bytes(5)
で作成された5バイトのバッファから memoryview
オブジェクトが作成され、それが変数 x
に代入されます。
bytearray
型:
x = bytearray(5)
bytearray
オブジェクトは可変なバイト配列を表し、長さ5のバイト配列が作成され、変数 x
に代入されます。
bytes
型:
x = bytes(5)
bytes
オブジェクトは不変なバイト列を表し、長さ5のバイト列が作成され、変数 x
に代入されます。
これらの例では、memoryview
、bytearray
、bytes
の各型を明示的に指定しています。これにより、それぞれの変数が特定のデータ型を持つことが保証されます。