SQLAlchemyのflush()とcommit()の違い
SQLAlchemyのflush()とcommit()は、データベースのトランザクション管理において重要なメソッドです。それぞれの役割や挙動を理解することで、データの永続化やトランザクションの管理を効果的に行うことができます。
flush()の役割
flush()メソッドは、オブジェクトの変更をデータベースに反映させるための手順を開始しますが、実際にコミットは行いません。つまり、データベースにクエリが送信され、変更が一時的に保留されます。この時点で、他のセッションからは変更が見えない状態となります。
session.flush()
commit()の役割
commit()メソッドは、flush()で保留されていた変更を確定し、データベースに反映させます。この時点でトランザクションが完了し、変更が永続化されます。他のセッションからも変更が見えるようになります。
session.commit()
具体的な例と結果
以下に、flush()とcommit()の違いを示す具体的な例を示します。
サンプルコード1: flush()の例
flush()を使ってデータベースにオブジェクトの変更を反映させる例です。
from sqlalchemy import create_engine, Column, Integer, String from sqlalchemy.ext.declarative import declarative_base from sqlalchemy.orm import sessionmaker engine = create_engine('sqlite:///:memory:') Base = declarative_base() class User(Base): __tablename__ = 'users' id = Column(Integer, primary_key=True) name = Column(String) Base.metadata.create_all(engine) Session = sessionmaker(bind=engine) session = Session() user = User(name='Alice') session.add(user) session.flush() print(user.id) # 1 (flush()で一時的にオブジェクトがデータベースに保存されたため、idが生成される)
サンプルコード2: commit()の例
commit()を使ってflush()で保留されていた変更を確定する例です。
user2 = User(name='Bob') session.add(user2) session.flush() print(user2.id) # 2 (flush()で一時的にオブジェクトがデータベースに保存されたため、idが生成される) session.commit() print(user2.id) # 2 (commit()で変更が永続化され、idが変わらない)
以上の例から、flush()は一時的な変更を保留し、commit()は変更を確定して永続化することがわかります。適切に使用することで、データベース操作をスムーズに行うことができます。
flush()とcommit()は、SQLAlchemyでデータベースに変更を反映させる際に使用される重要なメソッドです。
flush()メソッドは、変更を一時的にデータベースに反映させるが、トランザクションをコミットしないまま変更を保留します。つまり、データベースには変更が反映されますが、トランザクションがまだ確定されていない状態です。
一方、commit()メソッドは、トランザクションを確定し、変更をデータベースに永続的に反映させます。これにより、変更が確実に保存され、他のユーザーが変更を参照できるようになります。
つまり、flush()は変更を一時的に反映させるが、commit()は変更を確定して永続的に保存するという違いがあります。